アリステア・マクラウド情報修正

図書館で、アリステア・マクラウドの短編集を2冊借りてきた。先日書いたマクラウド本に関する疑問について、早速ことの真相を調べたところ、訳者あとがきに次のように書いてあった。

クラウドのはじめての作品「船」が小さな雑誌にのったのは、1968年のことである。それ以来、1999年に初の長編小説が発表されるまでの31年間で、まずか2冊の短編集(1976年 『As Birds Bring Forth the Sun and Other Stories』*1 と1986年 『The Lost Salt Gift of Blood』*2 に各7篇ずつ)しか出されていない。にもかかわらず、マクラウドの作品は「モダンライブラリー 1950年以降に英語で書かれたベスト小説200」(選者はブッカー賞の審査員長を務めたこともあるカルメン・カリールとアイルランドの作家コルム・トイビン)に選ばれるほど高い評価を受け、熱烈なファンも生まれたが、なにしろめったに作品を発表しない作家の地味な短編である、一般の読者のあいだに広まらなかったのも無理はないかもしれない。


そんな知る人ぞ知るの作家だったマクラウドを一躍有名にしたのは、1999年秋に発表された長編小説 『No Great Mischief』*3 (邦題 『彼方なる歌に耳を澄ませよ』*4 )である。10年以上かかって書き上げられたこの小説は、たちまち「傑作」の折り紙がつけられてカナダのさまざまなベストセラーリストに入り、いくつもの賞を獲得した(国際IMPACダブリン文学賞、カナダ出版協会賞、ダートマス図書賞、ラドール賞、トリリアム賞など)。この長編小説の成功により、マクラウドの全短編集を望む声が高まり、その結果、2冊の短編集に収められた14篇にその後書かれた2篇を加え、2000年1月 『Island』*5 というタイトルで出版された。


というわけで日本では、この「既刊の短編集2冊+2篇」で構成された『Island』を、再度2冊に分けて出版したということになる。その際、「+2篇」があるから、オリジナルの短編集のタイトルを使うわけにはいかないということだったのだろうか。そのあたりは良く分からない。


とはいえ、こんなことは既にマクラウドの翻訳本を読んでいる人には周知の事実であり、私が今まで知らなかっただけ。原書で見つけようと思ったら、見つからないので疑問に思ったため、ここに書いておいたという次第。


どうでもいいようなことには反応があるのだが、本当に知りたいと思う情報は、なかなか教えてもらえない。世の中は甘くない。自分でコツコツ調べるしかないのだ。それでも、インターネットがなかったときのことを思えば、ものすごく便利にはなった。だから、誰か教えてくれるんじゃないかという期待は全く抱かない。たまに教えてくれる人がいると、神様のように思える。