第2回アメリカ南部映画祭(2)

「ロング ウォーク ホーム」*1
The Log Walk Home (1990)

バスの乗り方まで規制する人種差別に抗議して、1955年、アラバマモンゴメリーで黒人たちによるバス・ボイコット運動が長期にわたっておこなわれた。それに基づいた作品。黒人のメイドは運動に参加し、徒歩であるばる勤務先の白人の家に通う。同情する白人の雇い主は気の毒に思って、車で送り迎えをはじめるが、しかし・・・。

<参考サイト>


※この映画は、どちらかといえば実話に近いといえるだろうが、完全な実話ではなく、かといって全くのフィクションでもない。事実、実際にあった「バス・ボイコット事件」を元にして作られている。バーダマン先生は、こうした歴史的な映画を好んで選んでいるようだ。それも、必ず胸が熱くなるような類の映画だ。先生がこれまでに選んだ、「アミスタッド」や「グローリー」も、実際にあった話を元にしたものだし、どれも感動した。今回も例外ではなかった。


内容は、上の参考サイトを見れば詳細がわかるが、人種差別を描いた映画で(アメリカの歴史といったら、人種差別を抜きには語れないのだろう)、さらに男女差別も描かれている。差別への抗議は、人種から始まり、男女、民族、etcへと広がっていった。差別というのは理屈のない嫌悪感情だから、そもそも理不尽なのだが、こういったことが実際にもあったのだなと思うと、非常に憤りを感じるし、やるせない気持ちにもなる。


白人が黒人に「アフリカへ帰れ!」などと言うところがあるのだが、そもそもアフリカから無理やりつれて来たのは白人じゃないのか?そんなことを言うなら、白人もヨーロッパに帰ったら!ということになる。インディアン(ネイティブ・アメリカン)こそ、アメリカの祖先だろう。


ヨーロッパから「移住」してきた白人は、なぜこうも偉そうに大きな顔をしているのだろう?「偉い」とはどういうことなのか?単に文化が上だというだけなのか?そこには礼儀や人間としての思いやりなど影も形もないのか?


そんなことは、何もアメリカだけの問題ではなく、日本にだってそこらじゅうに転がっている状況ではあるが、こういう映画を見るたび、あるいは、日常生活の中でもこういうことを感じるたびに、社会の悪習に立ち向かう 「アラバマ物語」*2 のアティカスのような人物(相手の立場に立てる人間)は、まさにヒーローであると思うのだ。


※おまけ
バーダマン先生が、「この間は嘘ついてすみません」と。最初に映画祭の日程について尋ねたときに、10月30日からと言ったことについてのお詫びなのだが、いえいえ、先生が悪いわけじゃありません。気にかけてくださって、大変恐縮ですという感じ。