『ミステリー・ウォーク』

あれこれあって、なかなか読めなかったマキャモンの本を、やっと読めるようになった。すっごく読みたくて仕方がなかったのに、他の本を先に読まなくてはならない状況で、苦しい思いをしていた。読書会の『レベッカ』も読み終えたし、ようやくマキャモンが読める!という感じ。

とりあえず出版順にと思い、『ミステリー・ウォーク』から読み始めたが、すぐに引き込まれて、本を閉じるのが辛い。それに、この文庫版は復刊されたのだろうか、2003年の出版になっているのだが、あとがきには青山先生の解説が載っている。それを読んだら、まるで授業を受けているような感覚に陥った。

アメリカ南部についての言及や、はっきりと何年とは書いていないけれども、文中に出てくる音楽や出来事で、時代が明確に記されているなどというのは、何度か聞いたことがあるなと、懐かしく思い出した。

『ミステリー・ウォーク』は、これまでに読んだマキャモン作品よりも、より南部色が濃く、いかにも南部の話といった出来事がたくさん出てくる。今週から開催される「アメリカ南部映画祭」に合わせて読むには、最適な作品だと思った。

マキャモン作品の翻訳はみな良いので、できれば翻訳で読みたいのだが、絶版や在庫切れが多くて、これまでになんとか集めた本以外は、原書で読まなくてはならないというのが残念。

『ミステリー・ウォーク』〈上〉/ロバート・R. マキャモン (著), Robert R. McCammon (原著), 山田 和子 (翻訳)
文庫: 388 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 東京創元社 ; ISBN: 4488558011 ; 上 巻 (2003/10)

内容(「BOOK」データベースより)
ビリー・クリークモアが母から受け継いだのは、死者の魂を鎮める能力だった。だが、人々は彼に冷たく、疑いに満ちた目を向ける。そんなある日、伝道者ファルコナーが、治癒の奇蹟を起こす息子ウェインを連れて町にやって来る。だが、ビリーが伝道集会で見たものは…?『少年時代』『遙か南へ』を経て、久々の長編『魔女は夜ささやく』に至るマキャモン文学の源流、待望の復活。

昨日、キャサリン・コールターの<FBIシリーズ>について書いたが、日本で翻訳された1作目が『迷路』で、原書では2作目にあたるようだ。実際この<シャーロック&サビッチ>シリーズは、もう10冊近く出ているようなので、翻訳で読む場合には、どれが1作目なんてことは関係がなさそう。英米の評価を見ると、その中でも『迷路』が一番面白そうだから、それが日本でまず最初に訳されたのだろう。