挫折

ちょっと前から読んでいた、E.M.フォースター『ハワーズ・エンド』。どうにも進まなくて、中断決定!というか、やめます。もう一度読む気になるかどうかもわからないけれど、今回はただでさえはかどらない読書に、さらにブレーキをかけるような状態になっているので、思い切ってやめることにした。


理由としては、翻訳の日本語がどうしてもすんなり読めないのがひとつ。文章がスムーズに流れていかないし、直訳っぽい日本語にひっかかってばかりいるし、イギリスの上流階級の話だからシックでおしゃれかと思えば、「紅茶の土瓶」なんていう表現が出てきたりして、ちょっとついていけない。会話部分も、なんとも居心地が悪い感じ。


って、こんなことを書いてしまうと、これから読もうとしている人には申し訳ないけれど、私は個人的にこれダメです。フォースターの最高傑作とする意見もあるけれど、私にはどうしてもダメ。もうひとつ大きな要因は、フォースターのまわりくどい書き方。状況描写とかがくどい!というか、理屈っぽい。


そもそも作者がそういう書き方なのに、翻訳でさらにくどくなっているような感じで、内容が興味のあることならいいのだけれど、まるで興味の沸かない内容だったりすると、目がうつろになってしまう。字面だけ追っていて、全く頭に入ってこないので、気づいたときにはまた初めから読み直さなければならないという始末。


こういう本を訳すほうもどれだけ大変かと思うのだけれど、ともあれ、今の私の頭は理屈っぽい話は入ってこない状態になっているので、私にこれを読むだけの能力がないということで、結論としよう。全部読んだら、きっと面白い話なんでしょう。でも、個人として特別これに時間をかける必要もないだろう、という感じ。これを、この訳で読んで、傑作と言える人は偉いなあと思う。


また気が向いたらトライしてみようとは思うけど、こういうのを見ると、大島一彦氏のジェイン・オースティンの訳などは素晴らしいんだなあと改めて思わざるをえない。少なくとも、「紅茶の土瓶」なんてのは出てこないし。(^^;


もっと昔の60年代くらいの翻訳があるのだが(『ハワーズ・エンド邸』 絶版)、図書館にあったので読み比べてみようかとも思う。もしかしたら、思いっきり古めかしい訳のほうが、かえっていいかもしれない。


ともあれ、他に読みたい本も星の数ほどあるので、ここは不本意ながらいったん挫折ってことで、失礼。気晴らしに、これまた中断していた宇宙人の本でも読むかなっ!