20世紀ホラー小説50選より

今日は大雨だったため、予定していたことを全てキャンセルして読書を進め、『サイレント・ジョー』を読む終えた。歌の練習もお休み。喉をいたわるのもあるが、雨にぬれて風邪を引いたら、それこそ大変!・・・なんてのも、ぐうたらの言い訳かも。


T・ジェファーソン・パーカーが自分に合わないなという理由をいくつか思いついた。まずユーモアがないこと。小説にユーモアが絶対的に必要なわけではないが、笑えるところがないと、パーカーのように緻密に書き込んでいる作家の場合は、だんだん息苦しくなってくる。ユーモアのつもりで書いていても、全部すべってる作家もいるけれど。


それから、余計な描写だと思える部分が多々あること。例をあげると、「・・・ラベンダーという色は好きなの。この色になにか象徴的な意味があったはずだけど、忘れてしまったわ・・・」などというところは、象徴的な意味が書かれているなら必要だと思うが、忘れてしまったのでは書く意味がないではないか?その後、この部分がどこかに影響してくるなら、当然必要だとは思うが、そのようなこともなかったと思う。


というわけで、こういういらないんじゃないか?と思える描写が目に付くのが、非常に気になってしまう。逆に言えば、あったっていいじゃないかとも言えそうだが、そういう部分を削れば、もっと明解で読みやすくなるのでは?と思ったり。この『サイレント・ジョー』については、訳も堅かったように思う。ジョーが礼儀正しい人物であるのはわかるが、全体的に堅さを感じてしっくりこなかった。


さて、今日マーケットプレイスから届いた2冊だが、10月はやはりホラーかファンタジーでしょう!というわけで、『ライヴ・ガールズ』が吸血鬼もので、『黒衣の女』は正統派の幽霊ものだ。『ライヴ・ガールズ』は露悪!凶悪!俗悪!ホラー史上最悪!なんて言われているが、この2冊とも「20世紀ホラー小説50選」に入っている有名な作品。


『黒衣の女』の作者であるスーザン・ヒルは、どこかで聞いたことがあるぞと思っていたところ、『ぼくはお城の王様だ』を書いた人だった。さらに、この人は古典の名作デュ・モーリアの『レベッカ』の続編である『Mrs. De Winter』も書いている。


『ぼくはお城の王様だ』は、そのタイトルからは想像もできないくらい心理的に怖い小説で、児童書のジャンルに入れられてはいるが、大人が読んでも素晴らしく怖い作品だ。これを良い作品だと言うと、「ちょっといい話」好きで、ホラーなんか大嫌いというような方々から頭がおかしいんじゃないかと言われそうなくらい、それほど邪悪な心を描ききっていて、それに対して愕然として打ちのめされるくらい、心底素晴らしい作品だと思える。


だから、『Mrs. De Winter』も、今日届いた『黒衣の女』も、きっと心理描写が素晴らしいのではないかと思うし、めっちゃ怖くて震撼させられるに違いないと期待している。