ユダヤ人と反ユダヤ主義─第5回:イギリスにおけるユダヤ人の歩み(Ⅱ)

近藤先生は、実はイギリス史が専門なので、このイギリスにおけるユダヤ人の歩みという内容は、同時にイギリス史も勉強できて一石二鳥!とはいえ、どうしてもイギリス史のほうに話が流れていってしまうので、今回も全部終わらなかった。(^^;


イギリスと言えばシェイクスピア。このシェイクスピアの「ヴェニスの商人」の登場人物であるユダヤ人のシャイロックの描写は、ユダヤ人にとってはとんでもない迷惑だったわけで、いまだにあのイメージは払拭されていない。


しかし、シェイクスピアがそれを書いた頃は、イギリスにはユダヤ人はいなかったのだ。だから、シャイロックのモデルは現実にはいなかったわけで、あのユダヤ人像は、シェイクスピアの偏見によるものだったのだ。


さてここで怖いのが、そうした本が売れてしまうと、全く事実に基づかないフィクションであるにも関わらず、多くの人が真実だと思ってしまうこと。これが今の『ダ・ヴィンチ・コード』にも言えていて、あの内容は本当なのだと思い込んでしまっている人がどれだけいることか!


ユダヤ人に話を戻すと、シェイクスピアが大文豪であったがために、シャイロックのイメージが全世界的に浸透してしまい、今現在でも「ユダヤ人差別は悪徳金貸しをしているユダヤ人が悪いのだから差別されて当然だ」といったような、わけのわからない理不尽なことを言う人が多い。


何人であろうが、みな同じ人間なのだから、100%良い人ばかりということではないけれど、そうしたフィクションを真に受けて、いわれのない理不尽な差別に加担するのは、知恵のある大人とは言えないだろう。


ユダヤ人は良い人間が多い」と言ったばかりのドイツ人に、「なぜユダヤの勉強などするのか?」と軽蔑したように言われたときは、ぎょっとした。特にヨーロッパ人は、口先と本心が違うらしい。


同じドイツ人が、「黒人は悪いことをする」と、黒人全てが犯罪者のように言ったときも驚いた。やはり心の底ではヒトラー同様、最も優秀な人種は白人のアーリア系だと思っているのか・・・と。


怖いのは、ヒトラーは気違いではなかったということだ。当時のヨーロッパ人は皆そう思っており(ユダヤ人差別やアーリア民族の人種的優越など)、何もヒトラーだけが特別だったわけではない。ヒトラーにはたまたまリーダーシップがあったため、出るべくして出た人物であっただけなのだ。



さて今日は、昨年出たコーマック・マッカーシーの『No Country for Old Men』のペーパーバックが届いた。もちろんハードカバーが出た時に購入してあるが、なにしろ初版だし、ミステリ系の文学賞も取っていることだし、大事にしまっておこうかと、とにかくPB化するのを待っていたのだ。


しかし、予定では7月に出版されるはずだったのに、いきなり届いてびっくり!嬉しいことは嬉しいのだが、ちょっととまどい。