ニューヨーク自由行動

<第八日目>

  • 10:30 起床
  • 12:00 昼食(吉野家
  • 13:00 買い物(ヤンキース・ショップ、バーンズ&ノーブル、紀伊国屋
  • 16:00 地下鉄でSOHOへ
  • 17:00 地下鉄でサウスフェリーへ(バッテリー・パーク)
  • 19:00 買い物(メイシーズ)
  • 20:30 ホテルに戻る
  • 21:00 夕食(マクドナルド)


昨日のボストン行きは朝も早かったし、帰りも遅かったし、何といってもこの旅行中、一番の暑さだったので、疲れ果てた。そのため、終日自由行動の今日は、ゆっくり起床。ホテルにはあまりいたくないが、疲れには勝てない。


しかしこのホテル、「Do Not Disturb」の札さえ置いてない。しょうがないので、ノートを破いて手書きで書いたものを出しておいたら、ちゃんとしたものに取り変えられていた。あるなら、ちゃんと置いといてよ!そんなわけだから、当然お目当てのボールペンも置いてない。それじゃはるばる海外まで来た甲斐がないってのよ。


さて、今日の目的は、買い物と自由の女神を見ること。アポロ13号が行きたいと言っていた、42stのヤンキース・ショップを目指すが、その近くに吉野家があるという情報を仕入れていたので、今日は和食にしようと、馴染みの(?)吉野家にて昼食。


日本では今や吉野家の牛丼はめったに食べられなくなってしまったが、サラリーマンの友である牛丼も、アメリカのビーフ・ボウルとなると、やっぱり違う。お肉もちょっとパサパサで、つゆも少ない。ちなみに「つゆだくで」ってのは、どう言うんだろうな。


ところで、私は新製品だと言うシュリンプ・ボウルというのを食べたのだが、エビとブロッコリー、カリフラワー、ニンジンなどの野菜(よく冷凍でミックスされて売っているようなもの)を茹でて、ご飯にのせてあるだけ。味がない。仕方がないので、おしょうゆをもらって、ドバドバかける。それでもまずい。こんなものを商品として出そうなんて、その考え自体が疑問。


日本の吉野家本社は、こんなものを出すことを認めているんだろうか?と憤る。しかし、ここはニューヨーク。体に悪いとなれば、タバコも認めず、塩分も認めずという、変に極端な場所だから、最初の日にガイドに聞いたとおりである。タバコや塩分はともあれ、じゃあ、脂肪や糖分は体にいいんですか?と聞きたくなる。山のようなフライや巨大なコカ・コーラを平らげておきながら、タバコや塩分は体に悪いなんて、意味ないんじゃないの?と思う。とにかく、吉野家で牛丼以外のものを食べるほうが悪いってことなんだろう。無料の紅しょうがだけは、たっぷり食べてきた。


続いて、ヤンキース・ショップに行く。ここでおみやげを買い込む。しかし、全く同じボールペンでも、NASAのショップより$1は高い。Tシャツでも何でも、すべて高め。でもまあ、ニューヨークと言えば、野球ファンにはヤンキースかメッツ。近場でボストン・レッドソックススティーヴン・キングが大ファン)というのもあるが、レッドソックスものは現地ボストンで買った。ちなみに、メッツのショップはなくなっていた。


メッツ・ショップを探しているときに、トイレに行きたくなってしまった(体調不良時期なのでトイレが近いのだ)。ところが、本屋にもホテルにもない。地下鉄の駅にもない。図書館はどう?と思ったが、IDカードがないと入れないらしい(パスポートでもいいらしいが)。普通のビルも、社員証か何かのIDカードがないと入れない。困ったところで、公園の清掃員に尋ね、やっと公園内にトイレを見つける。まったく、トイレひとつでこうも苦労するとは、暮らしにくい街である。


その後、私の目的地バーンズ&ノーブルに行く。ニューヨーク・シティ・オペラの人に聞いておいたところによれば、ニューヨークで一番大きい本屋だという(え?)。ニューオーリンズのビクターさんには、ユニオン・スクエア付近のストランド(作家がよく朗読をしている)を勧められたが、そこまでは行けなかった。


本に囲まれるというのは本当に心が落ち着く。マキャモンやマッカーシー、マクマートリーなどという日本では品揃えの少ない作家の本がズラリと並んでいるところは壮観でもあった。しばし至福の時を過ごしたのだが、アポロ13号には、ただ退屈なだけのようで、早々に出なければならなかった。買いたい本もたくさんあったのだが、とにかく持って帰ることを考えると、手が出ない。仕方がないので、ブックマークをいくつか買って、欲求不満を封じ込める。商品を入れてもらった袋には、様々な本の表紙に混じって、真ん中に『To Kill A Mockingbird』 の初版本の絵が描いてあって、ちょっと嬉しくなった。


ついでだから、近くの紀伊国屋も覗いておこうと思って行ったら、ショーウィインドウに見たことのある本が飾ってある。バーダマン先生と村田先生の共著である 『アメリカの小学生が学ぶ歴史教科書』*1 である。店に入って一番目に付く平台にも山積みになっていた。なんとなく嬉しくなって、思わず買ってしまおうかとも思ったが、日本で買ったほうが安いと気づいて苦笑。日本に帰ったら買おうと思った。紀伊国屋のカフェでアイスティーを飲んだのだが、ニューオーリンズのアイスティーのほうが断然おいしいと感じたのは気のせいだろうか?ともあれ、カフェのカウンターにいたのが日本人で、英語を使う必要がなかったのは嬉しかった。何か買うときか、食べるときくらいしかしゃべってはいないのだが、いい加減英語をしゃべるのに飽きた。(--;


紀伊国屋で一休みしたあと、地下鉄に乗ってソーホーに行く。ソーホーはブランド品の店がたくさんあるところだ。ブランド品には興味がないので、特に見るものもなかったが、できたばかりらしいアップルのショールームがきれいだった。なんとなくお腹が空いたので、街角でホットドッグを買って食べる。アメリカは、ホットドッグやハンバーガーはおいしいと思う。


旅行社の人にも、「ニューヨークでおいしいものを食べようと思ったら、一人一万円くらい出さないと」と言われたが、ニューヨークでそれだけ出すなら、ちゃんとした服を買ってでも、ニューオーリンズのアントワンズかガラトアーズに行ったほうがいいと思う。一人一万円でも、本当においしいなら文句はないが、ニューヨークの三ツ星レストランのシェフが書いた本を読んでいたら、お金をドブに捨てるようなものだと思う。


ソーホーのあと、また地下鉄に乗って、自由の女神が見えるバッテリー・パークに行く。ソーホーは、そこに行く途中にあるのだ。そこからフェリーに乗って自由の女神を観に行けるのだが、公園から見えるからいいかと、フェリーに乗るのはやめておいた。ちなみに、翌日のニュースで知ることになるのだが、この日、このあたりで観光用のヘリが墜落した。時間があればヘリに乗ってみたいと思っていたので、危ないところだった。


しかし、やはり水辺はいい。街の喧騒から離れて、海を眺めるのは気持ちがいい。バッテリー・パークに植えられている花の色の取り合わせも綺麗だった。しばらく公園のベンチに座って海を眺めたあと、再び地下鉄に乗ってホテルに帰る。明日はいよいよ日本に帰るので、他にどこか行くところはないかと思ったが、何気に歩数を見ると、すごく歩いていて、いい加減疲れ果ててもいたので、もうどこにも行きたくない気分。


とはいえ、まだおみやげを買わなければならないものもあったので、ホテル近くのデパート、メイシーズへ。たまたま「ワンデイ・バーゲン」というのをやっていて、全品3割引くらいになっているのに、今日だけはそこからさらに3割引みたいな、お得なバーゲンにぶつかった。普通だったら上から下まで見て回るところだが、かなり疲れていたので、必要なものだけ買って、あとは泣く泣く諦めた。せっかくのバーゲンだったのに、残念!


さて、夕食。アメリカで最後の夕食ですよというわけで、マクドナルド。実にニューヨークにふさわしい最後の晩餐である。でも、チーズバーガー2個に、日本ではLサイズのフレンチフライ、これまた日本ではLサイズのコーラのセットで、6ドルもしない。これを二人で分けて十分満腹。


ちなみに、ニューオーリンズのガーデン・ディストリクトにあるマックは、建築の制限があるため、教会のような建物になっていて、その名も「セント・マック」と呼ばれている。ボストンでも建築の制限が厳しいため、マックやセブン・イレブンなどが素敵な建物になっている。余談だが、ダンキン・ドーナツはボストンが発祥の地で、あちらこちらで見かけた。それらもみな素敵な建物になっている。


アメリカは基本的に電力不足だという。だから、「陽気なアメリカ」というイメージとは裏腹に、街が暗い。マクドナルドでさえも暗い。駅も地下鉄もホテルも店も、みんな照明が暗い。これがニューオーリンズあたりなら雰囲気があっていいとも思えるのだが、大都会ニューヨークでこの暗さかと思うと、気分もふさぐ。西海岸ではそんなことはなかったように思うのだが、そもそも西海岸の日差しの明るさが違うから、同じ電力でも暗いとは感じないのかもしれない。


ニューヨークは、何か目的がないと面白くない街だと思う。私はミュージカルとか芝居とかには興味がなく、ブランド品を買うことにも興味がないから、わざわざニューヨークに行く必要はないのでは?と思った。アメリカは好きだから、日本に帰りたいと思ったことはないのだが、ニューヨークに来て、初めて早く日本に帰りたいと思った。私には合わない街なのかも。初めてのアメリカがニューヨークだったら、きっとエキサイティングだと思って、好きになっただろうけれど。


※28268歩