「シッピング・ニュース」

おとといBOOK・OFFで買ったビデオ「シッピング・ニュース」を観た。原作はとうの昔に読んでいて、監督が大好きなラッセ・ハルストレムだし、ぜひ映画館で観たいと思っていたものの、結局観に行けなかったので、かなり気になっていた映画だ。


主人公のダメ男ぶりは、原作でもよくよくわかっていたし、そのダメ男を演じるケヴィン・スペイシーも、あまり好きではないという先入観があったのだが、ハルストレム監督は、そういったマイナスイメージを見事に覆してくれた。さすがハルストレム監督だ。風景を観ているだけでも和む。スペイシーの演技も良かった。ダメ男ぶりが、いかにも正直でいい人というプラスのイメージに繋がっている。


ハルストレム監督の映画には、必ずかわいい男の子が出てくる(主役クラスではなく重要な脇役として)のも、ハルストレム監督の映画は必見であるということのひとつの理由。今回も、男の子というにはちょっと育ちすぎだが、やっぱり監督の男の子の趣味はいいなと思わせる俳優がいた。要チェックだ。


原作を読んだときには、さほど魔法がかったイメージはなかったのに、ハルストレム監督の手にかかると、すべてに魔法がかかっているような感じを受ける。厳しい自然の中にも、また人間と人間の間にも。


そうした過酷な自然も、危うい人間関係も、ただ黙々と受け入れる主人公に好感を持った。原作ではあまり感じられなかったことだから、これはケヴィン・スペイシーの演技の賜物と言えるだろう。スペイシーは、カッコイイ役より、こういった役のほうが合っているのかも。ダメ男ぶりが実に板についている。で、ただ優柔不断でぐちぐちしてるだけじゃなくて、意外にやるときはやるじゃん!みたいな。それが案外カッコよかったり。