チャールズ・ディケンズ

ブッククラブの課題であるディケンズの『オリヴァー・トゥイスト』の上巻をやっと読み終えた。ううう〜ん、やっぱりディケンズだなあ・・・。読むのが面倒。日本語でも、読むのに手間取る。


それでも、『大いなる遺産』とか『二都物語』などに比べたら、まだ読みやすいほうなんだろうけど、しつこいほどの情景描写の書き込みが、ディケンズの特徴か。時代が時代だからと言ってしまえばそれまでなんだけど、彼独特のユーモアや風刺が、面白くない。いや、面白い部分もあるんだけど、時代に合わないというんだろうか。登場人物がみな馬鹿に思えてしまって、感想を何と言っていいのやら、だ。


もちろん、登場人物が馬鹿者に描かれているのは、ディケンズ独特の痛烈な風刺で、馬鹿に見えてもいいわけなんだけど、それにしても、イギリス人てこんなに馬鹿なの?って感じがしてしまう。オリヴァーは、これでもかというくらいにいじめられるし、それが、レモニー・スニケットの<不幸な出来事シリーズ>のように笑えるものではないのだ。何度も死にかけるほどの、本当のイジメなのだから、笑ってはいられない。


この本は分冊で出版され、好評を博したものなのだが、その出版形態を真似したのがスティーヴン・キングの『グリーン・マイル』。ディケンズも当時は大衆小説の作家だったわけで、同じくエンターテインメントのキングに通じるところはあるんだろうけど、だからといって、分冊にして儲けようというキングの主義は、賛成できない。それでも売れる公算があるからそうするんだろうし、キングほど売れている作家でなくてはできない形式ではある。


でも、ディケンズはほかに『デヴィッド・コパーフィールド』と『荒涼館』が残っている。どちらも4巻ずつ。ジョン・アーヴィングディケンズファンなので、きっと面白いに違いないと思い込んで買い揃えたのだが、正直言って、個人的には好みではないなあ。そのうちどれか面白い作品に当たるだろうと期待しては、毎回こんなはずじゃなかったと思う。


アーヴィングもそうだが、詩的な描写を連ねるのではなく、きちんとした文体で、詳細に書き込む作家というのは好きなのだが、ディケンズはどうも合わない。『二都物語』の翻訳をした中野好夫さんでさえ、「昔はこんなのを教科書に使っていたんだから、ひどかった」なんてことを言っているくらいだから、これで英語の勉強をしようなんて、間違っても思わないほうがいい。もっとも、『オリヴァー・トゥイスト』は、『二都物語』よりも数倍面白いとは思うけど。