スティーヴン・キング 『Bag of Bones』

キングの 『Bag of Bones』 は、今のところなかなか面白い。まだ全然ホラーっぽくないのだけれど(分厚いので、怖い部分はあとでたっぷり出てくるのだろうが)、主人公の作家マイクル・ヌーナンの妻が、冒頭でいきなり心臓発作で死んでしまい、そこから話が始まるのだが、ヌーナンの作家活動について、しばらく話が続く。

そこに、「現代アメリカ作家事情」みたいなことが書かれていて、現在活躍している作家たちのことなども、あれこれ書かれている。ヌーナンはロマンチック・サスペンスものを書いている作家という設定なのだが、メアリー・ヒギンス・クラークあたりと競っているらしいのだ。

“ペニスのついたV.C.アンドリュース”という評価も笑えるが、さてV.C.アンドリュースの一般的な評価とはどんなものだろう?以前、3分の1ほど読んで、やめてしまった本があるが、それしか判断材料がないので、ちゃんとした評価はできないけれど、たしかにロマンチック・サスペンスの売れ筋の作家で、だからといって、ダニエル・スティールほどの出せば必ずベストセラーになるというような大家でもないし、まあ、そこそこといったところだろうか。

ヌーナン自身もそこそこのベストセラー作家で、ニューヨークタイムスのベストセラーリストの15位くらいまでには、いつも入るのだが、メガヒットを出す作家の仲間入りまではしていないらしい。そう書いているキング自身は、メガヒット作家の一人なのに。

死んだ妻のベッドの下から、読みかけのサマセット・モームの『月と六ペンス』が出てくるのだが、しおりがはさんであるページのあとは、ついに読まれることはなかったということを考えたとき、初めて彼女の死を実感したというくだりで、こういうところで「死」というものを痛切に感じるのか、となんとなく考えさせられた。

そう思うと、あれを読んでおけばよかった・・・と死ぬときに後悔しないように、やっぱり好きな本から読むべきだと、改めて思う。好きなものはあとにとっておく、なんていう性格は、即刻直したほうがいい。

本は燃えにくいから、お棺に入れてもらえないだろうし、あの世にまで本を持っていくにはどうしたらいいんだろうか?(^^;