<レッドウォール伝説>シリーズ

昨日はやっぱり風邪を引いたらしく、今日は喉が痛い。扁桃腺ではなく、鼻と喉の間という感じ。最近、風邪を引くと、必ずここからやられる。特に乾燥している時は(外は湿度が多くても、部屋の中はエアコンで乾燥している)、間違いなくこの部分から。

というわけで、全く予定していなかった本を読んで過ごしたのだが、この<レッドウォール伝説>シリーズは、だいぶ前に買ってあったもので、やっと日の目を見た代物。というか、南部映画祭にちなんで、ジョン・グリシャム『The Runaway Jury』(映画邦題「ニューオーリンズ・トライアル」)を読み終わり、大人の世界に嫌気がさしたので(ちょっと嘘)、動物ものでも読むか・・・と思って手にした。

動物が洋服を着ている話は好きなのだが、ネズミにモグラ、カワウソとくれば(それにアナグマ!)、ケネス・グレアムの『川べにそよ風』(または『たのしい川べ』)だろう。同じ動物が登場して、あれを越える話はなかなかないものだなあと思った。ウィリアム・ホーウッドによる続編の『川べにこがらし』は良かったが、あくまでも、あれはグレアムの世界を下敷きにした続編だから、別物とは思えないし。

この<レッドウォール伝説>シリーズは、勧善懲悪の世界で、良い方と悪い方がはっきり分かれている。テーマは主人公が「勇者の剣」を探しにいくという探求冒険物語なのだが、善悪の戦いの話ばかりで、児童向けにしては、登場人物(動物?)が次々に死んでいくところなどは、ちょっと残酷。みなあっけなく死んでいく。ちなみに、悪と戦うネズミというと、斎藤惇夫『冒険者たち』を思い出させる。

でも、この主人公はネズミである必然性がないように思う。ネズミというか、動物である必要がないような気がする。しかし、作者のブライアン・ジェイクスは、おそらくトールキン『指輪物語』を意識していて、この物語を人間、またはエルフなどが出てくるような話にしてしまうと、かなり「指輪」に近くなってしまうのかもしれないと思った。内容は全然似ても似つかないし、トールキンにもはるかに及ばないのだけれど、どこか似ていると感じるところがあるのだ。もっとも、「指輪」は多くの作家に影響を与えているだろうから、ジェイクスがその一人だったとしても、何も驚くにはあたらない。

それにしても、ネズミやモグラが、ビールやワインを飲んで、バタつきパンやお菓子を食べたり、料理に凝ったりしているのを読むと、なんだか妙におかしい。そのくせ、タカとかフクロウ、ネコなどは、普通に小動物を襲って食べている。そのあたりが徹底されていないというか、変だ。


〓〓〓 BOOK

◆読了した本

『Redwall』/Brian Jacques (著)
マスマーケット: 336p ; 出版社: Berkley Pub Group (Mm) ; ISBN: 0441008178 ; (2001/01/01)
出版社/著者からの内容紹介
モスフラワーの森近く、レッドウォール修道院で、いにしえから伝わる勇者のタペストリーを心のより所として平和に暮らしていたネズミたちを、凶悪なドブネズミ〈鞭のクルーニー〉が襲撃してきた。悪を滅ぼすためには、伝説の「勇者の剣」が必要で…!? 刊行と同時に若い読者の心をしっかりとつかみ、世界中で話題を呼んでいる冒険ファンタジーの傑作!