映画「すべての美しい馬」

DVDで「すべての美しい馬」を観た。アメリカ南部もいいけれど、西部もまたいいなあ・・・。とはいえ、これはいわゆるテキサスあたりの西部ではなく、メキシコ国境周辺の話。もちろん、主演のマット・デイモンは良かったが、相手役の女優は、あまり好みではなかった。

原作はコーマック・マッカーシー『すべての美しい馬』で、これまでにも何度か日記に書いているが、最近お気に入りに加えた本。主人公のジョン・グレイディは、ヴィゴ・モーテンセンを頭に浮かべて読んでいたので、映画のマット・デイモンとはだいぶイメージが違ったが、映画は映画でこんなものでしょう。というか、年齢的にはマット・デイモンのほうが合っているので、こちらのほうが、原作のイメージには近いのだろう。

ただし、映画には「孤高のカウボーイ」といった雰囲気があまりなかったように思う。男同士の友情というものは、ちゃんと表現されていたが、信頼し合っている中にも、それぞれが自分の道をしっかり歩んでいるといった感じが足りなかった。原作に感じる冷酷さというのもなかった。そういう意味では、「オーシャン・オブ・ファイヤー」のヴィゴ・モーテンセンのほうが、より「孤高のカウボーイ」というイメージは強い。

映画では、主人公は素直な良い子が自分の居場所を探しにいくといった感じに描かれているけれど、実際はそんなに良い子なわけではない。どちらかといえば、アウトローだ。正直で真っ直ぐな性格というのは合っていると思うが。最後のシーンは、断然原作のほうがいい。マット・デイモンが優等生すぎた。それはそれで彼の持ち味なのでいいのだが、そうすると、最後のシーンが弱くなってしまうのだ。

原作と映画は違うものだから、それぞれでいいのだが、マット・デイモンが、ジョン・グレイディという「役を演じている」といった感じがどうしても抜けなかった。勝手に思い浮かべていたヴィゴのイメージが強すぎたせいかも。

『すべての美しい馬』
監督:ビリー・ボブ・ソーントン
主演:マット・デイモン
内容(「Oricon GE」データベースより)
メキシコの壮大な自然を背景に、若者が大人になっていく過程を美しい馬とともに描いた、コーマック・マッカーシー原作の名作小説をビリー・ボブ・ソーントン監督が映画化した珠玉の青春ドラマ。