フセイン元大統領の死刑執行/イラク、旧政権時代に決別

2006/12/30 22:05─ 四国新聞社


バグダッド30日共同】1982年、イラク中部ドジャイルでイスラムシーア派住民を虐殺した「人道に対する罪」で死刑が確定していたサダム・フセイン元大統領(69)に対して、絞首刑による死刑が30日午前6時(日本時間正午)ごろ、バグダッド市内で執行された。国営テレビが発表した。


判決確定からわずか4日。約4半世紀にわたり同国を恐怖で支配し、2003年のイラク戦争で政権の座を追われた独裁者は、犯罪者として生涯を閉じた。


裁判の公正さを疑問視し、死刑に反対していた欧州諸国や国際人権団体などから批判が噴出。元大統領支持のスンニ派武装勢力が、現政府の中枢を占めるシーア派クルド人への攻撃を活発化させ、一層の治安悪化につながる恐れもある。


元大統領が弾圧したシーア派クルド人が中枢を占めるマリキ政権には、死刑執行でスンニ派への元大統領の影響力を排除し、旧政権時代との決別を内外に印象付ける狙いがある。ブッシュ米大統領は死刑執行について「イラク民主化に向けた重要な節目」とする声明を発表した。


イラク国営テレビはバルザン・イブラヒム元ジュネーブ国連大使とアワド・ハミド・バンダル元革命裁判所長の死刑も執行されたと伝えたが、ルバイエ国家安全保障担当顧問は報道を否定した。