カポーティ 『真夏の航海』

周囲でさんざんノロウィルスにかかったという話を聞いていたが、うちの母と義妹と姪もノロウィルスにやられたらしい。これに効く薬はないそうで、普通に胃薬とかを飲んで治すしかないそうな。かなり強力なウィルスらしいので、しっかり手洗いして気を付けましょう!


さて、トルーマン・カポーティの幻の処女作『真夏の航海』を読んだ。これはカポーティが絶対出版したくないと言ってお蔵入りになっていた作品で、本人が死んだ後に出版されたものだ。


こういうのってどうなんだろう?ファンとしては、未発表の作品を読みたい気持ちはあるけれど、嫌だと言っていた本人の遺志はどうなるのか?もし自分だったら、絶対に嫌だと思う。


ところで、この本の翻訳が安西水丸氏というのにびっくりした。安西氏と言えば、小説なども書いているらしいが、私の中ではイラストレーターという認識しかなかったので、名前を見たときは、なぜ?としか思わなかった。


ニューヨークに住んでいたこともあるらしいので、英語も堪能なのだろうが、読んでいて日本語として不自然なところや、書き手が10代なのに訳者が60代である感覚のギャップなどを感じてしまった。


書き手が10代なら訳者も10代でなければならないかと言ったら、そんなことは全然ないけれども、でもカポーティですよ!その類まれなる詩的な感覚を存分に表現するには、小説家としてだけでなく、翻訳家としても一級の人でなければ表現できないのではないかと思ったり・・・。


安西氏がイラストレーターであるという先入観がやはり大きくて、個人的にどうもしっくりこない本となってしまった。残念。これから読もうと思っているカポーティファンの人は、できることなら原書の
『Summer Crossing』 のほうを読んだほうがいいかも。たぶん。