良識を欠いたディーン・R・クーンツ

今日は図書館に6冊返却して、また予約の本を7冊引き取ってきた。例のTどこかから取り寄せているらしいので断れなくなってしまったというT・ジェファーソン・パーカーの本2冊に、ホラーを1冊、以前読んだ『王女グリンダ』で、ちょっと興味がわいた<デルフィニア戦記>シリーズを4冊だ。


さらに、マーケットプレイスからも1冊届いた。これもホラー。今日入手したホラー2冊は、やはり「20世紀ホラー小説50選」に入っているもので、とりあえず名作の部類。面白いかどうか全くわからないが、マキャモンが断筆中なので、こんなところから探すしかないのだ。


『絢爛たる屍』のほうは、ホラーというのはともかく、ニューオーリンズが舞台というので借りた。ロマンスやミステリではなく、ホラーこそニューオーリンズにふさわしいかもしれない。代表格のアン・ライスは特に好きではないけれど、他にニューオーリンズを舞台にしたホラーを読んだことがないので、ちょっと楽しみ。「エキゾティックな妖都ニューオーリンズの闇の底、狂気と背徳の愛が甘い腐臭を発して蠕動する」という内容説明もなかなかいいじゃないかと。


『殺戮の「野獣館」』は、ホラー界では超有名な作品とはいえ、とんでもない本のようで、巻末の風間賢二氏の解説を読んで大笑いしてしまった。それだけに逆に楽しみでもある。これじゃ図書館には置けないよねと納得。



・・・グロテスクな殺戮シーンやポルノチックなセックス描写を売りにしている、さながら大昔の扇情的で俗悪なパルプ雑誌を彷彿とさせるようなホラー作家たちの作品だった。本書の作者リチャード・レイモンもそうしたお下劣なホラーを売りにする二流のペーパーバック・ライターのひとりである。そう、リチャード・レイモンは、低俗にして悪趣味、徹頭徹尾B級のホラー作家なのだ。太鼓持ち的性格をいくぶんかは要求されるこの解説文とはいえ、レイモンを“第二、第三のキング”だとは口が裂けても言えない(だが、「良識を欠いたディーン・R・クーンツ」となら言えるかもしれないが)。


・・・キングがクーンツ並みの重量感のあるホラーを望む読者には物足りないだろうし、ストラウブやC.L.グラント、デニス・エチスンといったアクションよりも雰囲気をを大切にする“静かなホラー”を好む読者には、本書は悪趣味・お下劣の最たる作品としか映らないだろう。ただし、あなたがえぐいハードコア・ホラー・ファンなら、本書はまさに狂喜乱舞の傑作たりえる一冊であるはずだ。・・・最近、女性ホラー作家の台頭で心理的な作品や耽美なホラーが増え、ヤワな作品ばかりだとお嘆きのあなたに一読を薦めたい、本書はグッと胃に応えるエロ・グロ悪趣味ホラーの決定版である。・・・


とまあこんな調子で、解説だから一応褒めているのだろうが、風間氏が力説すればするほど、悪趣味でお下劣な感じが目いっぱい伝わってくる。(^^;


しかし、個人的にはキングも十分お下劣だと思っているので、レイモンは果たしてどこまでお下劣なのか、それはそれで楽しみではある。“第四、第五のキング”くらいには言えるんじゃないか?とか。。。とりすました文学や、偽善的な小説にうんざりしている今日この頃、これほど思いっきりお下劣ですよ!と解説者が太鼓判を押す本は、逆に新鮮でもある。


風間氏の言うように、女性作家の耽美なホラー(アン・ライスのことでしょ)に満足できない私には、もしやぴったりかも・・・なんて。ちなみに、こうしたホラーは、イギリスではナスティ・ホラーというらしい。アン・ライスだって、お下劣なものはお下劣だけど。


巨匠ジェイムズ・ハーバートやクライヴ・バーカーなどがその筆頭らしいが、そういえば、生まれて初めて買った洋書が、ジェイムズ・ハーバートの『MOON』だったような・・・。その時は何も知らずにジャケ買いして、いまだに読んでいないのだが、その時からこの方面に手を伸ばす運命だったのかも。(汗


ところで、「良識を欠いたディーン・R・クーンツ」って・・・よくわからないなあ。爆笑!