サマー・キャンプ

夏らしいと言えば、子どもの頃はサマー・キャンプ。キャンプなんか大嫌いだったが、学校で行かされるのだから仕方がない。もともと田舎に住んでいるのだから、特に空気がきれいだとか、自然を感じるなんてことはないのだし。


それでも、数が多すぎて星座の形もわからないくらいの、降るような満点の星空には感動したし、みんなで夜中までこっそり起きていたりするのは楽しかった。森とか林とか、そうした場所の感覚は、その頃に覚えたものだろう。


賢治童話などに出てくる森や林を想像する時、そうしたサマー・キャンプが役に立っていたに違いない。今思えば、ためになることをしていたんだなと。食べ物の記憶などは一切ない。どうせカレーに決まっているのだし、何が悲しくて、こんな不便なことをするのだろうと思った記憶しかない。


さて、長野まゆみのサマー・キャンプは、そういう普通のものではない。近未来の話であるというのもあるが、遺伝子操作や染色体がどうこうという理科系の話だ。