『魔法医師ニコラ』

今日読み終えた『魔法医師ニコラ』は、かなり評判の高い復刻版の冒険小説なのだが、個人的には面白くなかった。内容は全然違うが、雰囲気はシャーロック・ホームズっぽく、語り手がワトソン君の役割といったところ。


また、主人公ニコラが魔法でも使うのかと思ったら、そんなわけでもない。魔法のようなものを使うのは、ニコラとは関係のないまったく別の中国人だ。ニコラが良い人なのか、悪い人なのか、それも曖昧だ。外見もヘビっぽいらしく、周囲には嫌われていて、ホームズのようにヒーローとも呼べない。


冒険小説の場合、たとえそれが悪役でも、私はやはりカッコいいヒーローを期待してしまうわけで、このキャラはどうも好きにはなれないし、これが書かれた時代には面白かったのかもしれないが、今では特に面白いとも感じない。舞台が中国とかチベットとかいうのも、何でもありのようで興味半減。


ところで魔法といえば、ジョン・アーヴィングスティーヴン・キングが、J.K.ローリングに「ハリーを殺さないでくれ」と頼んだとか・・・。二人の気持ちはよくわかるけど、そこまでするかと驚きでもある。


二人とも実生活では良き父親であるから、子どもの夢であるハリー・ポッターというヒーローを壊すような結末には、どうしても賛成できないのだろう。6巻が衝撃的であっただけに、さらに輪をかけて衝撃的な結末になるのは、さすがに子どもにはショックかもしれない。


強いはずの善が悪に敗れてしまうなど、絶対に信じたくない気持ちだろう。それこそ夢の希望もない世界だ。ターミネーターみたいに、殺されても死なないのがファンタジーなのだから、ハリーにはどうしても生き延びてほしい。