南部のスワンプ

昨日読み終えた、タミー・ホウグの 『心ふるえる夜に』(原題:Lucky's Lady) は、なかなか面白かった。というのも、ルイジアナ、アチャファラヤのスワンプを舞台にした話で、その描写が実に良かったからだ。


ニューオーリンズに行ったときに、どこが一番気にいったかって、やっぱりスワンプだったし、スワンプには何度でも行きたいと思っているくらいだから、この小説はその情景を思い出すのに最適。


内容はよくあるロマンスに、少々サスペンスが混じった感じだったが、ヒーローのラッキーが孤高の人で(高潔ではないが)、その点もキャラ的に気にいったので、良かった。


南部の小説というと、どうしても黒人差別の話を思い浮かべがちだが、差別は黒人だけではなく、ケイジャンにもある。ヒーローのラッキーは、そうした差別の対象であるケイジャンだ。


そのため、時々フランス語が混じってくるのだけれど、愛を語るには、フランス語もまた良しという感じなのだろう。読んでいるほうは、フランス語が入ってくると読みにくいだけだが、これもまたコーマック・マッカーシースペイン語混じりと似たようなものだろう。


特にルイジアナは、フランス領だったから、小説にもフランス語は頻繁に出てくる。ルイジアナを舞台にした小説を読むのに、フランス語は避けて通れないみたい。ケイジャン音楽やザイデコを歌うにも、多くがフランス語だし。