『ナイトワールド』はヒーローものだった!

ホラーと思って読んでいた『ナイトワールド』。たしかにかなりスプラッターな場面もあって、怖いと言えば怖いのだが、結局これは、グレーケンという善なる存在のヒーローものではないかという感じ。


自分の務めはすでに終えたはずと思っていたグレーケン(『城塞 ザ・キープ』で)。しかし最後はやはり人類はグレーケンに頼らなくてはならなかったのだ。再び悪の存在ラサロムと対決するグレーケンに、ライアン神父や始末屋ジャックが協力していく。


感動的とも言えるラストでは、太陽の光があることが、もう当たり前とは思えなくなっている。グレーケンを始めとする人々の尊い自己犠牲によって、この世界は暗黒から守られたのだ。


これは、『指輪物語』とか『ドラゴンランス』にも通じるテーマだし、ホラーというよりファンタジーといってもいいんじゃないかという気さえしてくる。単に血まみれのホラーではなく、ちゃんと感動できるホラーだった。


人間が弱気になること、それが一番悪につけこまれやすい状況だということなのだが、とにかく諦めず、前向きに生きる姿勢が重要なのだということを強く感じた話だった。グレーケン、素晴らしいです。「指輪」で言えば、アラゴルンの役どころだろうか。