『ダ・ヴィンチ・コード』読了

ダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』、下巻も一気に読めた。全く淀みなく一気に読める本は、エンターテインメントとはいえ、賞賛に値すると思う。久々に気持ち良く一気読みできた本で、そのことでまず、すがすがしい気分になれた。


キリスト教の聖杯をめぐる謎解きの話だが、謎を辿っていくうちに、アーサー王伝説や、ケルト神話のほうまで話が広がるのが面白い。こんなことを言うと怒られるかもしれないが、言ってみれば、私の好きな「トンデモ本」に近いのかもしれない。


キリスト教という世界の三大宗教のひとつをバックに、世界最大のベストセラー「聖書」についての疑惑や、ヴァチカンの陰謀、名画に隠された暗号などなど、謎や秘密好きにはたまらない題材だろう。謎に巻き込まれる主人公のラングドン教授は、ヒーローというわけでもなく、控えめなキャラだが、好感が持てる。


そういえば、マキャモンも聖書についての疑問をあげていた。キリストの生涯が書いてあるはずの聖書に、性に目覚めた頃のキリストのことが全く書かれていないのはなぜか?というものだ。だから、若い聖職者がそのような衝動を感じた時には、一体どうしたらよいのでしょうか、イエスさま!というわけだ。この本は、そんなことにもちょっと関連している。


事の真実はともかく、作者はこのあたりの事情をよく調べてあるし、何度もドンデン返しがあって、ともすれば退屈になりがちな学術的な描写でも、読者の好奇心が勝って、ミステリとして全く飽きさせない作りになっている。


ただひとつ真実を知りたくて先を読み急ぐのだが、その結末は・・・。ううむ、個人的にはちょっと欲求不満。


ちなみに、フリーメイソンユダヤの秘密結社のように扱われているが、あれは実際、単なるその土地の名士が集まるライオンズクラブとかロータリークラブのようなものだそうで、もちろんユダヤ人の会員もいるが、陰謀などとは全く関係ないということを、「アラブとイスラエル」の授業で聞いた。