『Three Wishes』

バーバラ・デリンスキーの『Three Wishes』を読み終えた。これもクリスマス本のひとつで、どうせ・・・と全く期待していなかったのだが、予想に反して、とても面白かった。


内容は、「交通事故により重傷を負ったウエイトレスのブリーは、光り輝く存在から三つの願い事を授けられて現世に戻るという臨死体験をする。彼女を車ではねたのは、弁護士にして有名作家という素姓を隠して最近町に引っ越してきたトム・ゲイツだった」という設定で、もちろんこの二人が恋に落ちて結婚にまで至るのだが、問題は、与えられた「三つの願い」だ。


この「三つの願い」は、本当に叶えられるのか?はたまた、願いが三つ叶えられたあとはどうなるのか?というのが、最後まで読者を引っ張っていく鍵で、それが、ロマンスにちょっとしたミステリを加味し、退屈させない展開となっている。


事故により、子どもができなくなってしまったブリーだが(99,5%くらい不可能と言われる)、愛する夫トムのため、「子どもを授けてください」と願いをかけるわけだが、その願いは、与えられた三つのうちの最後のもの。これが叶ったら・・・。


さて、このひとつの願いのために、自分の命がなくなるとしたら、一体どうするのがいいのだろう?個人的には、トムはあくまでもブリーを愛したのであって、子どもを愛したわけではないとも思うし、トムの人生において、ブリーが一緒にいなければ、意味がないのではないかとも思う。


二人の愛の結晶としての子どもは素晴らしいのだろうが、「三つの願い」などということがなければ、子どもがいなくても、二人は一生幸せに暮らしていけただろうに、とも思う。でもブリーは、どうしてもトムに子どもを作ってやりたかったのだ。


結末は、ちょうどクリスマスだ。どんな結末か、うすうす感じているのだが、その結末に向かっていくのが、とても怖い。死に向かって、カウントダウンをしているようだからだ。


二人があまりにも幸せで、あまりにも満ち足りているため、そこに向かっていくプロセスが、とても辛い。けれども、事故で一度死んだと思えば、それからの日々は、神に与えられた素晴らしいおまけのようなものだろう。とても残念な結末ではあるけれど、そこで終わっているからこそ、美しい物語になっているとも言える。


にしても、ハンサムでお金もあって、優しくて逞しい、何があっても守ってくれるトム・ゲイツのような男だったら、私も結婚したい!(^^;