アーサー・ランサム

アーサー・ランサムの『ツバメ号とアマゾン号』、お子様向けの訳なので、あまり期待はしておらず、しかも結構分厚い本だったので、今日の返却までに読み終えるかな?という感じだったのだが、意外にもあっという間に読めてしまった。


ここに登場する子どもたちの年頃に、この本を読んでいたなら、きっとすばらしく素敵だと思っただろう。親から離れて子どもだけで帆船を操縦するとか、キャンプをするとか、海賊ごっこをするとか・・・といっても、実は親の目の届く範囲でのことで、そうたいしたことはしてはいないのだが、それでもその年齢の子どもたちにとっては、大冒険だろう。大人でさえ、結構わくわくする。


また、ここに出てくる大人は、子どもたちの「ごっこ遊び」を馬鹿にしたり、けなしたりせず、本気でつきあってくれるというのもいい。それに、父親の言うことには絶対逆らわない、お兄さんやお姉さんには従うといった、今ではあまり見られない「家庭の躾」も、ほほえましい。私は、実際家族はこうあるべきではないかと思っている。こういうことがなくなってしまったから、子どもが荒れているのだと。


だからこの本は子供向けと思い込まず、今の大人も読んだほうがいい。すでに「古き良き」といった趣になっているが、古くても良いことは思い出すべきだ。いかにも子供向けの訳なので、ちょっと残念ではあるが、これは全12巻の 「アーサー・ランサム全集」 になっているので、全集で持っていても損はないものだろう。しかし出版元が岩波書店なので、書体が今の子どもには読みにくいかも。復刻版なのかもしれないが、せっかくの良書の全集なのだから、多くのの子どもたちに読んでもらえるよう、新しく作り変えてもいいのでは?と思う。


ところで、また図書館に返却に行ったついでに、またまた凝りもせずに本を借りてきてしまった。その中のマーカス・セジウィックだが、以前から気になっていたものの、読む機会がなかった。今回手にとって解説を見ると、「YA界のスティーヴン・キング」とある。そもそも児童書でホラーというのはそんなにないから、「ホラー=スティーヴン・キング」みたいな感覚なんだろうが、ちょっと笑えたので、借りてきた。


しかし、例えば「YA界のロバート・マキャモン」なんて言ったって、対象とする読者には、わかってもらえないだろう。私自身、キングを好きなわけではないから、セジウィックがキングに似ていようがいまいが、どうでもいいんだけど。