NEW アラバマ物語

Harper Lee の 『To Kill A Mockingbird』 (邦題 『アラバマ物語』 )の新しい本が届いた。これまで読んでいたマスマーケット版は文字も小さく、行間も詰まっており、インクがにじんでいて読みにくかったので、毎年読む本だからと、再度購入した。これはトレード版。


1961年に発表されてから、多くの出版社からいろいろな版が出版されてきたが、今でもまだ新しい本が出版され続けており、本当に息の長いベストセラーなんだなと再認識した。日本では一度絶版になったが、復刊。暮らしの手帖社が、初版以来の1000円という価格を守って販売しているのは、特筆に値する。


原書で1961年の初版本を入手するのは無理だろうが、できれば初版のレプリカである40周年記念バージョンが欲しいと、ずっと思っている。またしてもコレクター魂が騒いでしまう。


昨日、デイヴィッド・ファーランドの『大地の王の再来(下)』を読み終えたが、上下巻の常で、話が乗ってくる下巻は一気に進む。それにしても笑える内容だった。大王アーテンはまるで怪物になってるし、美男子が怪物になっていくのは、やはり滑稽としか思えない。だからアクション映画に美男子は似合わないのだ。窮地に陥ったときに、変な顔になるのが滑稽で気がそがれる。


だいたい、<魅力>や<筋力>などと共に、<品格>の「賦与」も大量にされているわけだから、理屈で考えれば、人間を超えた欲望も何もない神のような存在になってもいいはずだが、理屈は作者の都合のいいように作り変えられている。


笑えるくらいだから、面白いと言えば面白いのだが、バカバカしくて笑えるといった類だ。人智を超えた力を持つアーテン大王が、最終的に敵の砦を滅ぼしたのは、なんと何千人もの賦与を受けた<声>によるものだった、つまり叫び声で砦が崩れたということ。だったら、余計な戦いなどいらないだろうに。まったくバカバカしい。


結末もはっきりしたものではなく、これからまだまだ続きますよと、明らかに続編を意識するもので、ここまで読んできてこんな結末?という判然としない思いが残るだけ。


続編を読むかどうかは微妙(日本ではまだ出ていないが)。ぐだぐだ書いてある退屈な説明は、この本の上巻でだいたい終わっていると思うので、あとはテンポ良く進むのだろうという期待はある。しかし「大地の王の再来」というタイトルだが、「再来」したところで終わっているので、実際に大地の王(グボーン)が活躍するのはこれからなのだ。グボーンは、大王アーテンとまだ戦ってもいない。