『麦ふみクーツェ』

「翌朝起きると、街をおおう曇り空から、ねずみたちがふりだしていた」


図書館から借りている、いしいしんじ『麦ふみクーツェ』 を読んでいるのだが、これがまた進まない。面白くないのではない。その反対だ。カラスが「くらげ、くらげ」と鳴くというのと同様、今度は空からねずみだ。「孫をねずみでうしなうってのはいったいどんな気分です」と聞かれたり、「で、奥さんのどこに当たったんですか、そのねずみは?」なんて大真面目に言うものだから、おかしくて仕方がないのだ。「災難でしたね」なんて。ともかく、そんな調子で書かれているので、何度も読み返してくすくす笑っているものだから、ちっとも前に進まない。


話は「ねこ」というあだ名の主人公(中学生にして身長180センチを越す)が、お父さん(数学者で、毎日階段の12段目に座って数式を解いており、素数に異常にこだわる)とお爺さん(吹奏楽の王様。担当はティンパニ)の3人で暮らしているところへ、「とん、たたん」と音を立てて、麦ふみクーツェがやってくるところから始まるのだが、すべてがそのクーツェに関係があるのかないのか、とにかくいろんな奇想天外な話が書かれている。おかしい。


この本は、先月 文庫版 も出版された。図書館の返却日も迫っていることだし、もう文庫版買っちゃおうかなあ・・・などとも思ったりして。かなり気にいっているし、持っていてもいいなあと。いしいしんじは、この本で坪田譲治文学賞を受賞している。うーん、どうしようかな。。。とにかく返却日が気になる。延長って手もあるけど、いしいしんじの本を1冊くらい持っていてもいいかもぅ・・・と、なんとか購入する理由をこじつけようとしているのだ。