『白の鳥と黒の鳥』

今日も暑い。35度を超えた。うちは、隣のトタン屋根の照り返しがもろに来るから、余計に暑い。クーラーのない部屋は、マジでサウナ状態。隣の家は誰も住んでいないんだから、早いところ壊してくれればいいのに。。。蜂の巣といい、トタン屋根といい、迷惑にしかならない。トタン屋根は夏場は熱いので、カラスもそこには飛んでこないから、その点は静かでいいのだが。


今日は図書館から、朝と夕方、携帯にメールが入った。何冊か予約しているから、夕方のはまたさらに追加で準備ができたんだろうかと思ったら、朝のと全く同じ内容。おいおい!パケ代も馬鹿にならないんだから(図書館のサイトに繋いで確認しなくてはならないから)、同じ内容のメールは送るなよ!って感じ。


いしいしんじの本を1冊読み終えた。日本文学の中で、無理矢理どこかに位置づけるとしたら、やっぱり宮沢賢治系だろうなとは思うが、かといって、今日読み終えた本の感じでは、一概に同じイメージでは括れないとも思う。そりゃ個人的には、どうしたって賢治のほうが上と思うし。


でも、この人はこの人で面白い。想像力が豊かであるという点では、賢治にもひけをとらないと思うし、他の作家(日本の作家はあまり読んでいないのでわからないが)とはひと味もふた味も違うだろうと思う。


しかし、賢治との比較はあまりしないほうがいいとも思う(私が勝手に比較しているだけだが)。たしかに賢治に似ているところもあるとは思うが、決定的に違う部分がある。賢治は男女の性については一言も触れていないのだが、いしいしんじのほうは、さりげなく、あるいは場合によってはあからさまに描いている。そこが、賢治の作品よりも人間くささを感じる所以だろう。


また作品によっては(今日読了したのは短編集だ)、現代的なユーモアも混じっているし、さらに、物事の捉え方が正直でもある。カラスが「クラゲ、クラゲ」と鳴いたなんていうのは、たとえ本当にそう聞こえたとしても、私のような凡人は、まさかカラスが「クラゲ、クラゲ」とは鳴かないはずだと、空耳と思い込もうとするだけだが、いしいしんじは、それをそのまま書いてしまうというところがすごい。


果たして、本当にカラスが「クラゲ、クラゲ」と鳴いているように聞こえたのかどうかはわからない。カラスが「クラゲ」と鳴いたら面白いだろうと思って書いただけかもしれない。それでも、そうした発想がユニークである。


賢治はあくまでも賢治でしかないのだが、いしいしんじは、賢治のようでもあり、アンデルセンやグリムといったおとぎ話やほら話の要素もあり、またアーヴィングやオースターといった現代外国文学の要素も持ち合わせている。しかし、イタロ・カルヴィーノほどにはぶっ飛んでいないのが、ちょっと残念。