『The Last Time They Met』

Anita Shreve の『The Last Time They Met』を読み終えたが、恋愛小説とはあるものの、大部分は不倫の話だから、そもそもがあまり好きではない内容なのだが、しかしこの小説にはとんでもない仕掛けがしてある。最後の最後に、えっ!と思わせる。


話は52歳から始まり、どんどん時を遡る。最後が17歳である。17歳のとき、二人は確かに恋愛をしていた。そうして時が過ぎて行ったかのように見えるが、実は・・・。話を始める主人公は女性だが、そこにも謎があるといった具合。


アニータ・シュリーヴは、以前にも 『The Pilot's Wife』*1 を読んでいる。そういえば、これも不倫の話だったか。特別好きな作家でもないのだが、なんとなく買ってしまう。気が付けば、好みでもない不倫話を読んでいる羽目に陥っている。「恋愛小説」としてくくられてしまうと、何か違うような気がする。それだけではない、もっと深い内容だと思うのだが、「恋愛小説」としたほうが、売れるのか。


でも、『The Pilot's Wife』は当初ミステリとして紹介され、なんだこれは?と、ミステリファンから失望の声が上がったが、実は恋愛小説なのだ。とそんな風な状況だと、恋愛小説だと言ったほうがいいように思うが、ロマンス小説とはまた違って・・・と、ややこしい。


まあ、良くも悪くもない、適当な小説ってところだろう。次にアニータ・シュリーヴの本を読むときには、不倫話じゃないものを読みたい。私の場合、不倫てだけでマイナスになってしまうから。それがどんなにきれいに描かれていようとも、けして美しい小説だとは思わないし、純粋とも思わない。自分たちが良くても、そのせいで泣いている人が必ずいるわけだから、私個人はそういう話はどうしても好きになれないのだ。


しかし今回の小説に関しては、とんでもなく純粋だったんだなあと驚く。おそらく女性のほうが強いから、文字通り女性が主人公だった場合には、ここまでの話にはならないだろうけれど。でも、恋愛のピークの時にあのような状況に陥れば、男女ともにありうることかも。


わけのわからない文章で、なんとも・・・という感じだが、これは種明かしの出来ない小説の部類だから、ハリポタ同様、黙して語らずのほうがいいだろう。「ハリポタ6」と違って新作というわけではないし、翻訳も出ているから、今さらどうということもないだろうが、沈黙は金なりだ。余計なことは言わないほうがいい。