ジョン・アーヴィング 『158ポンドの結婚』

現在、ジョン・アーヴィング『158ポンドの結婚』*1 を読んでいるのだが、なんだかほっとしている。ああ、やっぱりアーヴィングだなあと。ディケンズでもヴォネガットでもない。アーヴィングでなければならないのだ。 ※画像は原書 『The 158-Pound Marriage』*2


一時期、サリンジャーを読んでから、全然ダメだと思っていた現代アメリカ文学だが、そんなことはないのだと気づかせてくれたのがアーヴィングだったわけだから、私にとっての現代アメリカ文学の原点とも言える作家なのだ。だから久しぶりにアーヴィングを読むと、やっぱりこれだよと思う。


絶版になっている『158ポンドの結婚』と『ウォーターメソッドマン』の2作は、古本で探しまくって入手しておいたのだけど(原書も持っているくせに見て見ぬふり)、なかなか読む機会がなく、今の今まで本棚で眠っていたのだが、何を読んでも面白くないという気分だったので、そろそろ奥の手を出して、アーヴィングに行ってみようかという気になった。こんなことなら、もっと早く読めばよかった。「後悔先に立たず」を地で行っている。


アーヴィング以外では、マキャモンなら面白いのは重々承知なのだが、マキャモンは作品の数が限られているので、読み終えてしまうのが惜しいという気持ちもあって、大事に大事に読んでいるため、一気に読んでしまわないよう我慢しているのだ(無意味な我慢だとは思うが)。アーヴィングもマキャモン同様、そんなに多作の作家ではないから、全部読み終えてしまうのがもったいないという気持ちがある。好きなものはあとにとっておくという性格が、いくら痛い目にあっても直らないのだ。


しかしアーヴィング自身も、心酔しているディケンズを全部読み終えてしまうのはもったいないと考えているらしく、最後に読むための作品は、未読のままとってあるのだそうだ。それって、危険な賭けだとは思うけど(未読のまま、いつ何時ぽっくり逝ってしまうかもしれないから)、気持ちはすごくよくわかる。