『When the Wind Blows』 読了

長引いていたジェームス・パタースンの 『When the Wind Blows』 を、やっと読み終えた。これは乗らないなと思いながら、ただ単に読了することだけを目的として読むのは、結構しんどい。


登場人物は、主人公のフラニーという獣医の女性。そこに現れる、正体のよくわからないFBIエージェント、キット(ここにロマンスが芽生える)。そして、何かから逃げている、背中に羽の生えた少女マックスと、弟(同じく羽が生えている)のマシュー。それを追う正体不明の男たち。ほかいろいろ。


ラニーとキットは、連続して死亡した医師たち(フラニーの夫も含む)と関わっているのだが、その件で動いているうちに、羽の生えた少女に出会う。


一方、羽の生えた少女マックスと弟のマシューは、「The School」と呼ばれている施設を逃げ出し、そこのガードマンたちに追われている。「The School」は、アメリカ政府が秘密裏に作ったDNAの研究施設だ。


マックスに出会ったフラニーたちは施設に忍び込み、その謎を解いていく。その時に驚愕の研究内容を知り、数人の羽の生えた子どもたちを助け出すのだが、秘密を知ったものは、消される運命であることを知る。そのため、死んだ医師たちも、その研究に携わっていたために殺されたことがわかる。ここで、殺人事件と不可思議な空飛ぶ少年少女の話が結びつくのだ。


だが、助けを求めたキットのFBIの上司も、その研究に関係していることを知り、フラニーたちは絶体絶命となる。


というわけで、ミステリとSFを合わせたような話で、これまでのパタースンのイメージとはだいぶ違う内容だったのだが、DNA操作で空飛ぶ人間を作り出すほどの秘密の施設だというのに、そこの描写がお粗末すぎる感じがするし、それに関わっている人たちについても、描写が簡単すぎる。鳥と人間を掛け合わせて、空飛ぶ人間が作れてしまうって、すごいことだろうと思うのだが、あまりにあっけない。


結末も、それらの施設や科学者たちがどうなったのか、よくわからないし、少年少女たちの行く末もはっきりしない。フラニーとキットが森の奥に彼らをかくまったらしいのだが、この現代の社会の中で、誰にも発見されずに終わるとは思えないし、実の両親に返された子どもたちだって、背中に羽が生えている状態では、何事もなく幸せに暮らせたとは思えない。終わり方が甘いという感じ。


ファンタジーならまだしも、ミステリにしては甘すぎるし、SFにしては、説得力が足りない。パタースンとしては、失敗作なんじゃないだろうかと思ってしまうほどの、すっきりしない話だった。ミステリ、SF、ロマンス、ファンタジーと、欲張りすぎたんじゃないだろうか。